プロレタリア文学の第一人者・宮本百合子に影響を与えた故郷【郡山市】

2021.01.26
歴史 #プロレタリア文学#宮本百合子#歴史人物#貧しき人々の群#郡山市

日本の左翼文学・民主主義文学、さらには日本の近代女流文学を代表する作家の一人の宮本百合子。東京生まれの東京育ちであるが、本籍地は福島県郡山市であったことはご存知でしょうか。今回は、百合子自身の人間形成に大きく影響を与えた故郷と彼女の功績に焦点を当てつつ、郡山市の魅力に迫りたいと思います。

 

百合子自身の人間形成に大きく影響を与えた「郡山市」

宮本百合子は1899年に東京で生まれ、幼少期の多くを祖母の家である福島県郡山市で過ごしました。百合子にとって郡山市は本当の故郷であり、彼女自身に大きく影響を与えた場所と言われております。百合子は、祖父の実行した安積開拓によって生まれた桑野村開成山を舞台にした様々な作品を残しています。
百合子の処女作である小説『貧しき人々の群』の中に、このような詩があります。

 

(引用)
「どうぞ憎まないでおくれ。私はきっと今に何か捕える。どんな小さいものでもお互いに喜ぶことの出来るものを見つける。
どうぞそれまで待っておくれ。達者で働いておくれ!私の悲しい親友よ!私は泣きながらでも勉強する。一生懸命に励む。」
(「貧しき人々の群」新日本出版社,1979年)
(/引用)

 

この作品に描かれた世界は祖父が、その生涯をかけて心血を注いだ開拓地で起こった事柄で、近代社会で貧困の中に生きる農民の姿を目の当たりにした17歳の百合子の思想にとても大きな影響を与えたかが伝わる一節です。
『貧しき人々の群』以外にも、郡山市を舞台にした作品が数多くあります。
『禰宜(ねぎ)様宮田』も開成山の没落農民をモデルにした作品です。
また、祖父に従って忠実に生きた一農民をモデルにして、人間の哀感を描いた『三郎爺』など、
百合子の根本には、郡山市の自然が原風景として刻み込まれ、彼女の作品作りに多大な影響を与えたと言っても過言ではないでしょう。

1927年頃、百合子はソ連へ向かいます。この国で農民と労働者の生活に感激し、百合子が若い日に抱いた理想の一端を発見したのかもしれません。
その後、1931年に日本共産党に入党し、プロレタリア文学運動に参加することになります。
プロレタリア文学とは、1920年代から1930年代前半にかけて流行した文学で、虐げられた労働者の直面する厳しい現実を描いたものです。
そして戦争が終わると共産党の活動が再開され、百合子は社会運動や執筆活動を精力的に取り組みました。
戦時中の執筆禁止からも解放された百合子は『播州平野』、『風知草』、『道標』など多くの作品を残しながら、新日本文学会中央委員や婦人民主クラブ幹事を務め、共産党の指導による文芸運動や婦人運動の推進に努めます。
百合子は様々な苦境の中でも執筆活動と党の宣伝活動を続けるも、1951年に51歳で亡くなってしまいますが、死後プロレタリア文学の第一人者として、さらに高い評価を与えられるようになりました。

 

宮本百合子の故郷郡山市・是非訪れたいゆかりの地

百合子自身の人間形成に大きく影響を与えたであろう郡山市。そんな郡山市とはどんなところなのでしょうか。百合子に関わりがあるオススメスポットを2箇所ご紹介します。

 

スポット1
こおりやま文学の森資料館
郡山発展の礎となった安積開拓の中心である開成山の地にあります。
「文学の森」の名称は、開成山の昔の呼び名である「放れ森」からつけられたようです。
資料館では、宮本百合子をはじめ、郡山ゆかりの作家達の原稿や書簡などの文学資料を展示されており、文学への理解と関心を深めることができます。

 

住所  :福島県郡山市豊田町3番5号
見学時間: 午前10時から午後5時まで(ただし午後4時30分までに入館のこと)
定休日 :毎週月曜日、年末年始(12月28日から1月4日)、館内整理日
入場料 :大人(高校生以上) 個人:200円 団体:150円 高校・大学生等 個人:100円 団体:70円
中学生以下、65才以上及び障がい者は、無料です。団体は20名以上です。

・こおりやま文学の森資料館

http://www.bunka-manabi.or.jp/bungakunomori/index.html

 

スポット2
開成山公園 宮本百合子の文学の碑

明治のはじめ、灌漑用の池として造成された五十鈴湖を中心に、都市公園としてキレイに整備された開成山公園には、安積開拓の発祥の地としてモニュメントの「開拓者の群像」や、宮本百合子の文学の碑があります。宮本百合子の文学の碑には、「貧しき人々の群れ」の一節が記されています。
また、開成山公園には文学の碑以外にも400種800本のバラ等が咲き誇る憩いのバラ園や映画「時をかける少女」のロケ地としても使用された桜のトンネルなど見どころが盛りだくさんのスポットです。

 

住所  : 郡山市開成1-5

 

・郡山市観光協会

http://www.bunka-manabi.or.jp/bungakunomori/index.html

 

まとめ 「宮本百合子」の歴史、文化的な価値、魅力とは?

プロレタリア作家・宮本百合子を育んだ福島県郡山市。この地を訪れ、亡くなるまで自分の活動に精力的に取り組んだ百合子に思いを馳せてみてはいかがでしょうか。郡山市は、「美人の湯」として古くから愛される名湯や満開の桜なども有名です。ぜひ、足を運んで宮本百合子ゆかりの地をゆったりと散策してみてください。

 

「宮本百合子と郡山市」の歴史、文化的な価値、魅力

・ 宮本百合子はプロレタリア文学の第一人者として、高い評価を与えられている
・ 郡山市は宮本百合子自身の人間形成に大きく影響を与えた

ふかしま。
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