先人の知恵とおもてなしの心が宿る、福島県の郷土料理・こづゆって?

2021.01.26
未分類 #こづゆ#会津地方#名産・グルメ#大平#郷土料理

福島県を代表する伝統料理「こづゆ」は、正月や結婚式などハレの日に欠かすことのできない、沢山の具材が入ったご馳走椀です。素朴ながらしっかりと出汁のきいた優しい味わいで、飲んだ人をほっと癒してくれます。そんな福島県のふるさとの味「こづゆ」について詳しく紹介していきます。

 

江戸時代ごろまで遡れる「こづゆ」の歴史

「こづゆ」は、福島県の西側・会津地方でよく食べられる伝統料理の一つです。そもそもの起源は、江戸時代の後期から明治時代の初期に会津藩の武家料理として広まったと言われています。中には会津藩の藩主が食べた「重(じゅう)」と呼ばれる料理が広まったという話もあり、「こづゆ」という名称以外に、「重のつゆ」と呼ばれることも。別名は他にも沢山あり、「煮肴」「かえつゆ」「露」「つゆじ」など様々な名前で広く親しまれています。

今でこそ福島県の郷土料理として家庭でもふつうに食べられていますが、当初は内陸部では手に入りにくく高価だった海産物を使う贅沢な料理だったことから、庶民が日常的に食べられるものではなかったのだとか。そこで、特別な日のご馳走として徐々に食べられるようになったことで広まり、現在は正月や結婚式などおめでたい席に欠かせない郷土料理となっています。

さて、そのご馳走椀の中身はと言うと…会津地方は海のものが手に入りにくい地域性から、具材は内陸部でも手に入りやすいものばかりです。そうした部分から当時の流通事情が少し垣間見える気がします。作り方は簡単で、人参、椎茸、一口大に切った里芋、銀杏、きくらげ、2~3cmに切った糸こんにゃく、そして最後に文字通り大豆の粒ぐらいの大きさの麩・豆麩(まめぶ)を加えて大きな鍋で煮込み、薄味に仕上げるだけです。ここで全国的にも珍しいのが、出汁をホタテの貝柱で取るところ。貝柱は出汁を取った後も取り出さず、そのまま具材の一つとしていただきます。

地域や家庭によって具材は様々ですが、大事なのは具材の種類の数のようです。特に結婚式などでは縁起が良くて割り切れない奇数に。考え方は結婚式の祝儀袋に包むお札の枚数と似た感覚ですね。基本的にはお祝い事の席で食べられる料理ですが、不祝儀の際は具材の数を偶数にする他、外側が黒塗りの漆椀を使ったり、赤い人参を抜いたりといった気遣いをするケースもあるようです。

 

おもてなしの心がこめられた「こづゆ」専用の椀

「こづゆ」は結婚式をはじめとする大勢が集まるお祝い事の場で登場するため、最初に大鍋でたっぷりと作り、そこから “大平(おおひら)”と呼ばれる大皿に盛り付けられて料理の席へ。その後、個別に朱塗りの“手塩皿(てしおざら)”と呼ばれる専用の椀に盛り付けて振る舞われました。あまり他の地方で見かけることはないかもしれませんが、“手塩皿”とは手の平サイズの小さく浅い皿のことです。

福島県には全国に出荷されるほど有名な伝統工芸・会津塗の漆器があります。天正18年(1590年)に、豊臣秀吉の命を受けて会津の領主となった蒲生氏郷公が、漆工芸を奨励したことによって盛んとなったとされる産業です。県内のホテルや料亭などではこの会津塗の手塩皿で「こづゆ」が提供される場所もありますが、あくまでも福島県独自の郷土食の器として利用されてきたため、この形が全国へ広まることはなかったようです。

ただこの器にこそ、振る舞う側のメッセージが込められています。先ほどもお伝えした通り、内陸部では海産物の入手が難しく、結婚式などお祝いの席につきものの鯛や海老といった新鮮な魚介類をなかなか用意できなかった背景がありました。そんな中で最高のおもてなしをするために、「豪華な料理は用意できませんでしたが、お腹いっぱい召し上がってください」という最上級のおもてなしの心から、何杯おかわりしても失礼とならない習わしがあります。

それから、こんな話もあります。かつて会津では「膳に盛られた料理は箸をつけずに土産として持ち帰る」という風習があったそうです。ただ「こづゆ」に限っては汁煮物にあたるとして、酒の肴として何杯でもおかわりしてもよいとされていました。一般的にお酒のあてに汁物とはあまり考えられませんが、色んな具材が入った「こづゆ」なら、おかずとしていただけるのかもしれません。実際に試してみるのも一興ですから、福島を訪れてこれまた美味しい地酒と合わせて福島のふるさとの味「こづゆ」を召し上がってみてください。

 

まとめ 「こづゆ」の歴史、文化的な価値、魅力とは?

「こづゆ」は昔から福島県内、特に会津地方で食べられてきましたが、同じ会津エリアであっても家庭ごとに具材も味付けも呼び方もかなり多彩なようです。県内には「こづゆ」を食べられる飲食店も多いので、それぞれの店で試して自分のお気に入りを見つけてみるのもいいかもしれません。
それから、嬉しいことにお土産としても様々なタイプが販売されています。自宅でも福島の郷土料理を味わいながら、旅の思い出を振り返ってはいかがでしょうか。

 

まとめ

・福島を代表する郷土料理で江戸時代後期ごろに武家料理から庶民へと広まったとされる
・当時の流通事情が窺える、内陸部ならではの具材選定
・盛り付けられる椀にも歴史とおもてなしの心が秘められている

ふかしま。
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