福島出身の「蛙の詩人」・草野心平と川内村との深い関わりとは?

2021.01.26
地域密着 #いわき市#天山文庫#川内村#歴史人物#草野心平#詩人#阿武隈民芸館

草野心平は福島県いわき市出身の詩人です。蛙、富士山、石など、自然の景物や生き物を題材とした詩を多く発表し、1987年には文化勲章を受章しました。草野心平という名前は聞いたことがあるけれど、どんな人なのか全然知らない。という方も多いのではないでしょうか。詩人・草野心平の著作や生涯を追っていくと共に、福島県双葉郡川内村での蛙にまつわるエピソードや、「天山文庫」創立までの経緯をご紹介します。

 

草野心平ってどんな人?〜「蛙の詩人」とその生涯〜

草野心平は1903年5月12日に、現在の福島県いわき市小川町に生まれました。小さな頃からわんぱくで、本や鉛筆にかじりつき、誰であろうと噛みついていたそうです。心平はその当時、自身の性格を「ガギガギザラザラ」と表現しています。1921年、中国の嶺南大学(現在の中山大学)に留学した際に持参した亡き長兄のノートに書かれていた詩や短歌に触発され、心平は詩作を始めました。あまりにもたくさんの詩を書いていたので、その多作ぶりに同級生からは「機関銃(マシンガン)」と呼ばれていました。

1923年には亡き長兄との共著『廃園の喇叭』を、1925年には宮沢賢治らと共に同人誌『銅鑼』を刊行しました。当時、心平は出版社の校正係や焼き鳥屋の屋台、新聞記者などの仕事をして何とか食いつなぐ生活をしていました。そして1928年、活版印刷による初の詩集『第百階級』を出版しました。原稿用紙の真ん中に黒い丸だけが書かれた「冬眠」や、ひらがなの「る」ばかりが並んだ「生殖Ⅰ」など、新奇性に富んだ処女詩集でした。しかし、

その当時の心平の生活は貧窮を極めていて、明日の食べ物にも事欠いていたそうです。中原中也、逸見猶吉らと共に1935年に創刊した同人誌『歴程』は今でも発行されています。現在までに寄稿した作家には谷川俊太郎、中上健次、宮沢賢治(遺稿)など、錚々たる顔ぶれが並んでいます。その後、自身で「ジグザグロード」と表現しているように、貸本屋や居酒屋、バーなどさまざまな職業を経験しました。また、書画などの詩以外にも創作活動を行い、1987年には文化勲章を受章しました。そして1988年に85歳で亡くなるまで、心平は1,400編あまりの詩を残しました。

富士山、石、天などの自然をモチーフとした詩が多く、その中でも心平は蛙をテーマにした詩を書き続けたため、「蛙の詩人」とも呼ばれています。心平の通夜に一匹の大きなガマガエルが現れ、参列者を驚かせたという不思議なエピソードも残っています。

 

川内村と草野心平〜天山文庫の創立〜

川内村と草野心平のつながりは、ある新聞の投書がきっかけです。

心平は「モリアオガエルの生息地があれは教えてほしい」と投書し、それを見た川内村にある長福寺の住職が招聘の手紙を送ったことで、心平と川内村の交流が始まりました。1953年に心平は初めて川内村を訪れました。豊かな自然と温かい人々に感銘を受け、それから心平は毎年のように川内村を訪問するようになったのです。

心平が1960年に川内村名誉村民に選ばれ、褒賞の木炭100俵のお礼にと蔵書3,000冊を寄贈しました。この出来事により文庫の建設の話が持ち上がり、村民が建材を持ち寄って建てられたのが「天山文庫」です。その名前は東西を結ぶ交易路「シルクロード」の一部であった天山山脈になぞらえて、東北と中央、人と人との交流や出会いを大切にしたいという心平の想いから名付けられました。

風情のある茅葺き屋根が特徴の天山文庫の設計は建築家の山本勝巳氏が手がけました。夏は新緑、秋は紅葉と色を変える自然の中に溶け込み、館内は古代から現代に至る日本の建築様式が随所にちりばめられています。文庫落成を記念して毎年行われる天山祭りでは、季節感あふれる山菜料理や釣ったばかりの魚が振る舞われます。また、村の伝統芸能である浦安の舞や獅子舞、神楽舞を見ることもできます。笛や太鼓に合わせて川内甚句(日本の伝統的な歌謡、民謡のこと)も披露され、心平を偲ぶたくさんの人たちが県内外からやってきます。

 

草野心平と川内村民との絆〜想いを伝える天山文庫〜

福島県いわき市出身の草野心平の来歴と、川内村との関係をご紹介しました。新聞の投書から始まる縁というのも、なんだか素敵ですね。館内には児童向けの本が収められている場所もあり、本の閲覧や貸し出しは自由。かつて心平が経営していたバーを再現した資料室もあります。心平の詩集や資料を読みながら、静かで穏やかな時間を過ごすこともできそうですね。

また、共通の入館料で「阿武隈民芸館」にも入館することが可能です。古くから伝わる川内村の土器や民芸品、そして心平と村民の交流、軌跡のような思い出の品々が展示されています。興味のある方はぜひ、訪れてみてはいかがでしょうか。

 

住所 福島県双葉郡川内村大字上川内字早渡513
営業時間 9:00〜16:00
休館日 月曜(祝日の場合は開館)
入館料 一般300円、高校生・学生250円、小・中学生150円(20名以上の団体は50円の割引)

 

まとめ

・川内村とゆかりの深い日本を代表する詩人である
・川内村に草野心平ゆかりの天山文庫が開かれている

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